旧帝国大学とは全国に7校ある国立大学のことです。日本で有数の知名度と実績を持ち、文句なく日本を代表する大学と言えます。
- 伝統・ブランド力・社会的評価
- 資金力・設備
- 人脈
などにおいて、他大学を圧倒している名実ともに日本を代表する学術機関と言えます。
この記事では、『本当に全ての旧帝大の学部学科が難しいのか?』『比較的簡単に入れるトコロはないのか?』などの疑問を解消すべく、偏差値や合格最低点を用いて、本当の合格難易度を調査しました!
一部内容を最新のものに入れ替えました。
Contents
予備校の偏差値ランキングはあてにならない?
偏差値の比較だけでは不十分
受験生なら『旧帝大の中で簡単な大学(学部学科)を狙いたい』とか、『第一志望は○○大学の△△学科だけど、第二志望は確実に受かりたい』など、コスパがいい受験先を探す人も多いと思います。
例えば、予備校が発表している「偏差値ランキング表」を見れば一番簡単な旧帝大の学部学科がわかるのでは?と思うかもしれません。
しかし、それは甘い。
なぜなら偏差値ランキング表はそこまで正確ではないからです。
例えば2019年度の大阪大学入試を見てみましょう。
理学部の2学科において、以下のように偏差値と合格最低点に逆転現象が見られました。
学科 | 2次偏差値(センター) (河合, 2019年度用) |
合格最低点 (2019年度) |
理・数学科 | 62.5 (79.0%) | 577.85点 |
理・化学科 | 60.0 (79.0%) | 578.20点 |
上表に示されたように、偏差値上では数学科の方が化学科よりも2.5ポイントも高い値でしたが、実際の2019年度入試の結果を見ると、偏差値では上だった数学科の方がかえって合格最低点が低いという結果になっているのです。
他にも、2019年度入試では阪大理学部生物学科は偏差値上では62.5で数学科と同じでしたが、合格最低点が611.15点もあり、数学科より30点以上も上でした。
このような現象は、これらの例に限らず良く見られます。
- 模試と実際の2次試験では受験者層に違いがある。
- 模試では受験者のサンプル数(n数)が少なく統計的に保証できるレベルではない。
- 実際の入試では理科の選択(物理or生物)があり、難易度の上下に左右される。
など。
偏差値は”参考”にする
とは言え、全く参考にならないわけではありません。
複数年で同じような傾向がある場合は、ある程度信頼できます。
私見では、これまでの偏差値の傾向的に、九大理学部&工学部と北大総合理系あたりが旧帝国大学の中で偏差値的に軽めであることが多いと見ています。
※ちなみにメジャー学部(理・工・農など)のみを対象にしています。
※医歯薬は考えていません。
当サイトでは九大理・工と北大総合理系に目星をつけています。
実際の入試問題と合格最低点を考えるべき
センター(共通テスト)と2次試験の配点
センター試験(共通テスト)と2次試験の配点率は重要です。
一般的に2次試験(個別入試)の方が、センター試験(大学共通テスト)より難しいことが多いためです。
センター割合(共通テストの割合)が大きい方が、合格最低点(得点率)は高めに出ます。
旧帝大では全ての大学がセンター(共通テスト)より難しい問題を出します。
センター(共通テスト)の割合が高いと、合格最低点(得点率)は高く出やすい。
九州大学(理・工)と北海道大学(総合入試=理系)について、比較すると、有り難いことにセンター(共通テスト)比率がだいたい同じです。
試験問題の難易度
当たり前ですが、入試問題の難易度も重要です。
東大と琉球大学の合格最低点(得点率)が仮に同じであったとしても、入試問題は東大の方が圧倒的に難しいので、合格しやすさについては東大の方が断然難しいことになります。
なので北大と九大も、『どちらが簡単か?』を比較するなら試験問題の難易度を比較しないといけませんが、ここではだいたい同じくらいと考えます。
というのも、年度によって変わりますが、東大・京大(阪大)の入試問題と比べると明らかに軽量級ですし、東北大や名古屋大と同程度かやや下ぐらいなことが多いからです。
合格最低点による比較
センター(共通テスト)比率、及び試験レベルが比較対象同士で同じ場合、合格最低点が低い方がより簡単ということになります。
というわけで両大学の難易度評価には、合格最低点を比較したいと思います。
九大理学部生物学科が狙い目!
では、旧帝大の中でも偏差値的に低かった、九大(理学部・工学部)と北大(総合理系)について、実際に合格最低点から難易度を比較してみたいと思います。
2015年度合格最低点の比較
2015年は、九大理学部生物学科が最も低くなっています。
少なくとも、九大の中では理学部生物学科がこの年は一番入りやすかったと言えます。
また北大総合理系との比較においても、かなり差を開けられています。
特にこの年の北大総合理系が試験問題が易化したというわけではないと思うので、少なくともこの年は九大理学部生物学科が旧帝大の中で一番入りやすかったのではないかと推定されます。
2015年度は圧倒的に九大理・生が旧帝大の中で入りやすかった!
2016年度合格最低点の比較
2016年は北大総合理系が最も低くなっています。
実はこの年は、北大の数学と化学がかなり難化したのでその影響があると思われます。
で。九大同士で比べるとやはり理学部生物学科が低いという結果になっています。
九大の工学部と理学部はセンター配点や2次試験問題が同じです。
なので難易度の比較は単純で、合格最低点を比較すればよいです。
最低点が低いので、理学部生物学科の方が工学部地球環境工学科簡単なことを示しています。
2017年度合格最低点の比較
この年も、九大理学部生物学科が最も低い得点率となっています。
なんと、この年の生物学科は、九大理学部で最も高かった数学科と比較して、50点以上も最低点が低いという結果でした。(1150点満点)
結論
入りやすい旧帝大について検討しました。
偏差値/配点/入試問題の難易度/合格最低点を全て検討した結果、本サイトとしては九州大学理学部生物学科が旧帝大理系メジャー学部学科の中で最も入りやすい大学という結論になりました。
今回の推定には、試験問題のレベルがほぼ同一であると言うことと、採点基準の違いは常識的な範囲内だろう(※)ということを仮定としておきました。
阪大では生物系はいつも他学科より難易度が高いです。なので、九大理学部生物学科がいつも最低点が低いのは謎です。実際、予備校の合格者平均偏差値では他学科より高い時もあります。
実はもっと入りやすい旧帝大の学部があった!
これまでの結論で九大理学部生物学科が最も入りやすいという一応の終着点がでましたが、しかし、実のところ、総合的にみるとさらに簡単なトコロがあります。
それは・・ 北大水産学部です!
合格最低点の比較
2015年~2017年にかけて、九大理・生と北大総合理系、及び北大水産の合格最低点を比較したいと思います。
2015年のみ、九大理・生が一番低くなっていますが、それ以外の年では北大水産が常に下回っています。特に2017年は圧倒的です。
ぶっちゃけ、北大理系総合≒九大理学部生物学科 ぐらいのイメージなので、北大理系総合よりも明らかに大幅に難易度の低い北大水産は、九大理学部生物学科よりも難易度は下だと思います。
ただし、ココはかなり目的がハッキリした人が入るべき学部だと思います。
まとめ
長くなりましたがまとめると
- 旧帝大メジャー学部学科では九大理学部生物学科が狙い目だろう
- 北大総合理系もそれに準じるレベルなのでコスパは良いだろう
- しかし旧帝大理系を総合してもっとも簡単なのは北大水産だろう
という結論です。
旧帝大は社会的信用も高いので、オススメです。
『できるだけ入りやすい旧帝大を狙う』というのも、立派な受験戦略だと思います。
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