大学受験の生物は、物理や化学に比べて暗記の要素が強いと言われます。
しかし同時に生物は暗記じゃないという人もいます。
果たしてどちらが正解なのでしょうか?管理人の印象を述べます。
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暗記量が多いのは事実としか言いようがない
何と言おうと、生物が他の理系科目に比べて必要な知識量が多いのは紛れもない事実です。
イメージ的には化学の2倍、物理の5倍、ぐらいあると思います。
管理人も好きだったとはいえ、生物の知識力向上のためにたくさん努力しました。
生物が他の理系科目より知識量を要求される理由はいくつかあります。
1. 単元間のつながりが薄い
生物は単元ごとの知識の関連性が薄く、基本的に別物です。
生物の単元には(分け方は色々あると思いますが)『細胞膜の性質』『光合成』『呼吸』『細胞分裂』『遺伝』『遺伝子と調節(DNA)』『ホルモンと調節』『筋肉』『免疫』『生物の集団』『生態系』 etc・・などなど、色々とありますがそれぞれが基本的に独立しています。
仮に『光合成』について相当深い知識を持っている生徒がいたとしても、『遺伝』を学ぶときはまた一から学びなおしです。
そんなの化学も同じだよ!と言う人がいるかもしれません。
「有機化学と無機化学全然違うじゃないか!」
「化学平衡と有機化学関連性あるのか!」
という声も聞こえてきそうですが、化学は原子・分子・化学構造を基本としており、安定性という言葉で色々と説明がつくため、実は他分野であろうとかなり関連性があります。
- 生成物がより安定なら反応は進む(熱力学的に)
- 安定化どうかは反応物と生成物の官能基や立体障害に影響される
などを考えればある程度結果を予想することができます。
これは平衡定数の考え方と全く同じです。
そういった理由から、生物は覚えるべき量が多くなります。
個別案件の知識量が多い
例えばミトコンドリアという重要な細胞小器官があるのですが、
- 酸化的リン酸化によりATPを合成する
- 独自のDNAを持つ
- 真核生物にのみ存在
- 母親のみから遺伝
- 電子伝達系を持つ
- カルシウム濃度の維持に関与
など基本知識の時点でかなり覚えるべきことがあります。
さらに応用的な問題になると、
- ATPとクエン酸回路の関係
- ある種の筋肉にはミトコンドリアが少ない
- 化学浸透圧説
- 細胞内共生説
などの深い理解が求められます。
加えて問題の出され方として、
- 『ミトコンドリアの図を描け』
などの奇想天外な出題のされ方をする場合もあります。
ミトコンドリアが重要な細胞小器官だからという理由もありますが、個別案件でもこれだけ色々な知識が必要です。
論述問題を出題される
生物で大変なのは【論述問題】です。
これがあるため、暗記の必要性が高まってるとも言えます。
皆誰しも日常生活で経験あるとおもいますが、『何となく知ってるけど、説明できない』ということがよくあると思います。
実は、«説明»するためには、かなり詳細な知識を覚えている必要があるのです。
そのため論ユツ対策には、生物の知識をただ知っているだけでなく、アウトプットできるレベルにまで仕上げないといけません。これは結構しんどいです。
例えば、先ほどのミトコンドリア関連の論述だと
化学浸透圧説とは何か、ATP、プロトン、電子伝達系
という言葉を用いて説明せよ
葉緑体やミトコンドリアにおける細胞内共生説とは何か?
90字程度で説明せよ
などが良く問われますが、何となく知ってるだけでは普通は書けないです。
しかし考察問題はどうか?
とはいえ、センター生物や難関大の2次生物では必ず考察問題が出題されます。
これは知識だけでは無理です。
が必要です。
なので、思考力も必要です。
特に考察問題。
ただし・・
やはり考察問題も『知識』がベースになっているのは事実です。
歴史の論述問題が何の専門知識もないのに解けないのと同様で、生物の考察問題もたいてい生物学的知識が必要です。
総括
生物は論述問題を代表として、かなりの知識力が要求されます。
また考察問題と言っても、基本とする生物学的知識は必須です。
実際、知識偏重でもそれなりに得点できるのが生物という科目の性質です。
私はイメージ的に生物という科目は
暗記7割+思考力3割
ぐらいだと思っています。ざっくりですが、こんな感じです。