志望校別対策

【予備校講評】九州大化学(2018年度)の難易度評価を比較(3大予備校)

3大予備校(河合・駿台・代ゼミ)の入試速報を比較します。
予備校の“講評”は、志望校対策にもとても参考になるので、受験生は熟読しましょう。

参考) 河合/駿台/代ゼミの各HP

Contents

出題内容

(テーマ)2018年度九大化学

難易度評価

(難易度)2018年度九大化学

各大問に対する評価

大問【1】

河合塾

不均一系の平衡を題材としたKpを用いた計算と平衡の移動
大学側から当日配布された解答紙の訂正(kJ→kJ/mol)は不必要であった。

駿台

問2
H2O分子の種類を考える際、水中におけるH2Oの電離平衡を考慮する必要があることに思いが及ばなかった受験生が多数いたのではないか?
問4
H2O2の電離平衡はあまり目にしない問題であったと思う。

代ゼミ

酸素の水素化合物である水、過酸化水素に関する総合問題である。
様々な単元から広く問題が出題されているが、すべて標準レベルの問題であるため、確実に正解したい。

大問【2】

河合塾

油脂の分子量計算、セッケンの性質
油脂のエステル交換反応の化学平衡

駿台

問1 基本的な熱化学計算の問題であった。
問2,3 圧平衡定数を用いた計算問題は、分圧を用いた計算に習熟している必要があったであろう。
問4 温度一定条件で体積を小さくし全圧を高くしたときの各成分の分圧がどうなるか、温度一定ゆえ、圧平衡定数の値が不変であることと、ル・シャトリエの原理を関連付ける必要がある問題である点が難しかった。
問5 温度を高くしたとき、各成分の分圧がどうなるかという問いは、圧平衡定数の値が変化(増大)するので、難しい問題であった。

代ゼミ

黒鉛と二酸化炭素から一酸化炭素が生成する反応の平衡状態に関する計算問題及び、平衡の移動に関する問題である。
条件がいろいろと変化する上、気体の状態方程式を用いる部分もあるため、受験生にとってはやや解きにくい問題だろう。
また、平衡の移動に関しても、選択問題ではあるが、よく考えなければ正しい選択肢を選ぶことが出来ないため、戸惑った受験生も多いと思われる。

大問【3】

河合塾

フェノールの合成
サリチル酸とその関連化合物

駿台

油脂の融点、石ケンの液性に関する反応式、硬水により、不溶性沈澱が生成することによる洗浄力の低下についての問いは基本的であった。
グリセリドから長直鎖脂肪酸モノエステルを合成するエステル交換反応に関する平衡計算や反応に関する問いは、化学に関する理解度が低いととまどったであろう。

代ゼミ

油脂を題材とした理論・有機融合問題である。
ただし、問われている問題の内容としては標準的なものであるので解答することはできるだろう。
題材に戸惑わず、きちんと問題を処理できたかどうかが重要である。

大問【4】

河合塾

問6の解答はフェノール性OH基をもつものをすべて選択した。
しかし、F(2,4,6-トリブロモフェノール)の溶解度は極めて小さいので、実際に呈色するかは不明。

駿台

アセチレン、ベンゼンから種々の反応経路と中間生成物に関する教科書レベルの問題である。塩化鉄(III)による呈色反応において、”十分な酸性”下という条件があり、フェノール類のイオンが、イオンでない条件になっていたことを失念した受験生はいるかもしれない。

代ゼミ

主に芳香族化合物の合成および性質に関する問題である。
問われている内容はいずれも教科書レベルのものであるため、確実に正解したい。

大問【5】

河合塾

陽イオン交換樹脂の作成とはたらき
アミノ酸の分離、ジペプチド

駿台

(1)ポリスチレンスルホ(ン)型陽イオン交換樹脂の製法自体は容易であるが、その色が”褐色”であるというのを知っていた受験生は少なかったのではないか。
(2)代表的なα-アミノ酸の構造と等電点、検出反応に関する問題である。〔4〕同様、難解な問題ではないが、天然有機物、合成高分子をそれなりに勉強していないと得点できない問題であった。

代ゼミ

陽イオン交換樹脂を用いた有機化合物(主にアミノ酸)を分離する問題である。
イオン交換樹脂の合成に関しては単純な知識を問う問題であるため完答したい。
また、イオン交換樹脂を利用した有機化合物の分離に関しては、アミノ酸の構造から考える必要があるが、一度解いたことがある受験生にとっては十分解答可能だろう。




各社の総合的な評価(抜粋)

河合塾

小問集合の問題もあり、ある特定の分野からの出題ではなく、幅広く化学の内容を出題している。
計算問題では、導出の課程を書かせる設問があった。

駿台

昨年度同様、大問が5問の出題であった。(昨年のように)特に難しい問題は出題されていなかったが、知識、計算力、判断力が一定の水準以上であることが求められている。どの問題を確実に解かなければならないか、また、どの問題から手を付けるべきか、その選択が結果に大きく影響を及ぼしたであろう。

代ゼミ

本年は[1]、[2]が理論分野から、[4]、[5]が有機分野から、[3]が理論・有機の両分野から出題されたため、有機分野の比率が上がった。
例年通り[5]は高分子化合物のお分野からの出題であるが、本年は合成高分子化合物も出題された。
また、計算問題に関しては、導出過程を書かせる問題が出題されている。
例年通り、平易な問題は確実に得点することが必要で、ミスなく解答したい。
それに加え、[2]などのやや難易度の高い設問をいかに得点するかが合否を分けるポイントとなるだろう。

管理人の感想

九州大学は基本~標準的な問題もそれなりに出るため、努力が結果にかなり結びつきやすい印象です。